議会傍聴

※画像はイメージです。

9月7日に入間市議会令和2年第3回(9月)定例会の傍聴に行ってきました。
この日は総括質疑で、主に補正予算の質疑と令和元年度の決算の質疑を行います。具体的には市の執行部が今年度の第3四半期にどのような施策を実施し、そのために予算をどれくらい補正(修正)したいかを議会に諮り、承認を得るものが補正予算の質疑で、決算の質疑は前年度決算について予算を的確に利用出来ていたかを確認するものです。

補正予算の質疑では主に以下の内容について議論が行われました。

  • 勤労福祉センターの廃止に伴う予算措置について
  • 学童保育室の新設、及び保育時間の延長とその利用料について

各会派からはそれぞれ特色のある質疑が行われ、今後入間市がどのような施策を行うか、その施策を行う根拠は何か、積算額は妥当か否などが議論されました。

特に市の施設の廃止に関しては現在も利用者があるものを無くす施策となるため、その後の対応について活発な議論が行われ、ときに熱くなる場面もありました。廃止の主な理由は施設の老朽化や不採算であることでした。確かに市全体のことを考えると廃止もやむなしと思います。しかし、施設がなくなることで現利用者の方々が困ることも事実です。このバランスを取ることこそが政治の役目であると改めて実感できました。

決算の質疑で取り上げられたのは主に以下の点です。

  • 一般会計について
  • 国民健康保険会計について
  • 後期高齢者医療会計について
  • 介護保険会計について

中でも印象に残った議論は令和元年度に実施された低所得者向けのプレミアム付商品券事業に関するものでした。

特徴的だったのは商品券用に確保していた予算が、実際には4割程度しか執行できなかったという点です。この点について執行部は、「利用が想定されていた市民の方々への配慮不足」を主な原因と考えていると答弁していました。実際に利用対象となった方々へのアンケートでは、「購入が憚られたのは商品券の価格が高額で購入できない」という点と、「使用することでお店側に低所得者であることが分かってしまう」点であるという意見があったとのことです。

私見に過ぎませんが、非常に微妙な問題だと思います。マクロな視点では有効と思われてもミクロな視点で十分な効果が得られなかった今回のケースは、市民と行政の目線の違いを明確にしました。決して行政は間違ったことをした訳ではありませんし、実際に商品券は4割利用されています。しかしながら、予算の6割が執行できなかったこと自体は問題となります。税が適切に使用できなかったということです。微妙な問題といったのはこの点です。目線の違いという問題と、決算の問題という2つの問題があるためです。議会の役目としては決算の質疑を通じて行政を質す必要があるため、予算の執行率が低かったことと原因分析を行うことを求めます。執行部も今後の対応を考えるために原因分析は重要です。そのためにアンケートを実施し、市民の声を聴いたわけです。しかし、安易にアンケートの結果のみに原因を求めることは危険だと思います。重要なのは「なぜ誰も対象者の目線で施策を見ていなかったのか」ということです。目線の違い、「当事者意識の欠如」こそが真の原因なのではないでしょうか。

縦割り行政と業務の細分化は効率的な行政機関を生み出しましたが、個々の職員の責任感を薄くしてしまった側面があります。自分の仕事が誰のためのものかを見つめ続ける必要があります。どのような職業であれ、最も重要なことは相手のことを思いやることでしょう。

自戒の意味も込めて締めとします。